薄毛に悩むと、大部分の人は育毛剤や発毛剤を導入して解決を図ろうとする。現代ではこれが王道となっていて誰も疑わずに導入しているようだが、その前に考えておかなければならないことがあるので以下で説明する。
まず、育毛剤と発毛剤の違いについて簡潔に説明する。これらの間にある差は、「成分」である。
- 育毛剤(医薬部外品)
血行促進成分である、塩化カルプロニウムやビタミンE等などを含有し、末端の毛細血管での血管を拡張する。これにより、毛根への血流量が増し、薄毛改善に効果があるとされている。その他にも、栄養成分であったり、抗炎症作用のあるグリチルリチンを含有し、「頭皮を健康に保つ」というのが育毛剤のスタンスである。なお、発毛効果はほとんど無い。 - 発毛剤(医薬品)
血行促進成分である、ミノキシジルを含有をすることが最大の特徴。ミノキシジルは、塩化カルプロニウムより強い血管拡張作用を持ち、血流量をより増大させる。また、「髪を生やす成分」として唯一、厚生労働省が認可している成分でもある。
上記の通り、育毛剤も発毛剤も、「血行を促進して薄毛を改善する」というアプローチの点で同じである。成分の違いにより、効果の強さが違うだけだ。血行が改善されれば薄毛も改善される可能性があるのは私も同意見だが、見落としている部分もある。
育毛剤も発毛剤も、頭皮に塗布するタイプであり、血管拡張の機能が作用する範囲は、頭皮部分の毛細血管のみにすぎない。下記記事でも説明しているように、肩凝りなどを代表とする血流障害により、頭皮だけでなく、そもそも頭部(首から上)への血流が十分でない可能性があり、育毛剤・発毛剤ではこれに対処することができないことが、見落としている部分である。
血流が阻害される要因は他にもある。肩凝りを代表とする筋肉の凝り全般は多くの人が抱えている症状であるが、これは長時間緊張する姿勢をとったりすることで筋肉が硬くこわばっていることが原因だと言われている。筋肉が硬くなることで血管を圧迫し、血流障害が起こり得る。その結果、上記と同様に頭皮への血流が阻害され、結果としてハゲることになる。
末端の毛細血管だけの血流障害だけではなく、そもそも上記のようなボトルネックを抱えている場合、育毛剤・発毛剤を使ったところで、その効果はほとんど無いのは想像に易い。例え効果があったとしても、産毛が少し生えたような気がする程度であり、育毛剤・発毛剤の使用をやめた時点でその効果はすぐに消失する。使用をやめたということは、血管が拡張されず元の少ない血流量に戻るからだ。
つまり、育毛剤・発毛剤に頼った小手先の対策では効果が無いことがあると伝えたいわけだ。末端の毛細血管だけ強制的に拡張したところで、ボトルネックを解消しないことには根本的解決は見込めない。だから、本質的な観点でハゲの原因を特定し、論理的にその対策を実行しなければならない。育毛剤・発毛剤を使用するならば、それらを抑えたうえで使用しなければならない点に注意してほしい。
育毛剤・発毛剤には副作用があることも忘れてはならない。外部から小手先の薬に頼って強制的に身体に作用させることは、何かしら身体に無理をさせる行為であり、必ず反動がある。育毛剤・発毛剤に手を出したがばかりに身体機能に障害をもたらしては真の解決とは言わない。
血流の本質的なところは、上記記事「ハゲを治したければ血流を改善させなさい」で説明しているので参照されたし。なお、「飲む発毛剤」と言われる内服薬については、別の機会で説明する。
ハゲに幸あれ。